■「スンニ派」「シーア派」以外にも、80以上もの宗派に分かれる「イスラム教」
ひとくちに「○○教」と言っても、実にたくさんの宗派があるのはみなさんもご存知ですよね。キリスト教はもちろん、日本の仏教ですらそうです。でも、知らない私たちから見ると、信者があんなに熱心でそして一神教であるイスラム教に、そんなにたくさんの宗派があることは想像しにくいのですが、やっぱりここにも、たくさんの枝分かれが存在するのです。社会の授業で習った記憶もおありだと思いますが、イスラム教の宗派は大きく「スンニ派」と「シーア派」に分かれます。632年にムハマンドが死んだあと、イスラム教はその指導者を巡って何度か分裂の危機に直面しました。しばらくはこの危機は乗り越えられたのですが、第4代の指導者(イスラム社会では「カリフ」と呼びます)に、ムハマンドの血統を組む「アリー」が選出されたことで、アラブ社会に根強かった部族第一主義派と、このムハマンドの系列の間で世代を越えた激しい対立が始まります。最終的にはムハマンドの血族側は、両者間の戦争に破れ全滅するのですが、この事件を契機に、朝廷に直結し「カリフ」の存在を認める多数派の「スンニ派」と、ムハマンドの血族の系列を組む少数派の「シーア派」に分裂するに至りました。その後、少数派であるシーア派は、さらに多くの宗派に分かれていくのですが、基本的に教義における解釈の差があったわけではなく、そのほとんどが政治的な理由によって分裂したものと言われています。同じ神と預言者と教義を共有しながら、戦争を起こしてしまう人間。近い存在だからこそ、いざほころびだすと決裂を選ぶしかなくなるあたり、人間の本質が垣間見えるような気がします。